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2018.05.21

森美術館15周年記念展「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」が開催中

北川原温《ミラノ国際博覧会2015日本館 木組インフィニティ》

北川原温《ミラノ国際博覧会2015日本館 木組インフィニティ》


これは必見の展覧会です。 日本建築を崇拝するものとして、私は森美術館の「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」に大いに期待していましたが、その内容は私の予想を大きく上回るものでした。この展覧会では、日本建築の現在に至るまでの歴史を瞠目すべき手法で振り返るとともに、その未来像をも浮かび上がらせています。キュレーター諸氏は、異なる鎖をあざない融合させるような極めて独創的な手法で、日本建築のルーツとその影響を最も効果的に表現することに成功しました。建築がお好きな方であれば、ここで優に半日は過ごしてしまうことでしょう。


ご自身の目で確かめられたほうが良いと思いますので、全てをお話しすることは避けますが、六本木ヒルズで催されているこの展覧会から私が得た印象のうち最も深かったことについていくつかお話ししたいと思います。


まずは、万国博覧会が持つ永続的なパワーです。今年後半に、2025年の万国博覧会の開催地が発表されますが、私たちは大阪が選ばれることを心待ちにしています。今回の「建築の日本展」から、万国博覧会が社会的、芸術的なトレンドにいかに大きな影響を与えてきたか、改めて思い知らされました。万国博覧会には 今まで2,700万人以上の人々が訪れているほか、多くの「世界初」のものが紹介されて来ました。その中にはたとえば、「観覧車」の英名でもある「フェリスの車輪」の語源ともなった米国の技師、ジョージ・G.フェリス自身が手掛けた世界初の巨大観覧車も含まれます。この観覧車が紹介された1893年のシカゴ万国博覧会のポスターには、水に囲まれた静謐な場所に佇む日本館が掲載されています。日本はこの万博で初の出展を飾りましたが、その目的は恐らく、明治政府が日本の文化と技術の粋を世界に示すことだったと思われます。シカゴ万博で日本は、平等院鳳凰殿を模した素晴らしい建築物を披露し、このパビリオンは万博の目玉となりました。当時まだ若手建築家だったフランク・ロイド・ライトもこの万博を訪れ、美しい鳳凰殿を観覧したことは有名です。彼は日本建築の壮大さから大きな影響を受けたということですが、その後の彼の活躍はもはや伝説と言えましょう。米国の建築家でアーツ・アンド・クラフツ運動の旗手であったチャールズ・グリーンとヘンリー・グリーン兄弟もこのパビリオンから大いに影響を受けましたが、その影響は彼らの手によるカリフォルニア州パサデナの「ギャンブル邸」に顕著です。


私はまた、1960年代に建てられ素晴らしいインテリア・デザインを誇る「大阪リーガロイヤル・ホテル」のロビーが展覧会で取り上げられていたことを、とてもうれしく思いました。 私は大阪に行くたびに、庭に大きな滝を臨み高い天井が心地よく、美しい絵画で彩られているこのラウンジで、短い時間でもひとときを過ごすよう努めています。この展覧会を通して、これらの建築物がいかに貴重で代えがたいものであるか、人々がもう一度思い起こしてくれることを願っています。傑作建築を大切にし続けるリーガホテルに、心からの拍手を送りたいと思います。


1960年代は、建築界の巨星である丹下健三をはじめとする日本の建築家たちが活躍した、真に革命的な時代でした。この展覧会では、世界の建築に対するまなざしを変えさせた、驚くべき作品の例が数多く展示されています。また、安藤忠雄、坂茂、隈研吾、谷口吉生、妹島和世、そして西沢立衛などといった現在も活躍中の世界的な建築家を特集したスペースも設けており、建築の歴史はいまこの瞬間も塗り替えられていることを改めて教えられます。


《住居(丹下健三自邸)》模型

《住居(丹下健三自邸)》模型


そしてもちろん、日本の美意識とその先のインスピレーションを与えてくれる、大阪は堺が生んだ芸術の天才、千利休のコーナーもあります。森美術館では、戦国時代の武将、豊臣秀吉のために千利休が設計した国宝茶室「待庵」を再現し、光溢れる空間にしつらえており、沈思黙考するのに最高の場所となっています。この展覧会ではほかにも、来場者が興味の赴くまま過ごすことのできる場所がいたるところに設けられています。


《待庵》

《待庵》


いくらでもお話しすることはできますが、これくらいにしておきましょう。MGMリゾーツ・ジャパンはこの展覧会の企業スポンサーであり、この美術館の長期的な支援者であることを喜ばしく思っています。 美術館の経営陣、有能なキュレーター諸氏、そして美術館のスタッフ皆さまに、心からの祝辞をお送りいたします。MGMリゾーツは、世界最高の建築家たちと共に働くことと、それぞれの土地の芸術を大切にすることを誇りにしています。米国ラスベガスのカジノホテル「アリア」を中心とするシティ・センター、そして、新たにオープンしたマカオの「MGMコタイ」は、そのほんの一例に過ぎません。日本の建築家やデザイナーとその業績に、惜しみない賛辞をお送りしたいと思います。


「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」は、六本木ヒルズの森美術館にて2018年9月17日まで開催されています。



日本MGMリゾーツ 代表執行役員兼社長 ジェイソン・P・ハイランド


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