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2018.07.04

日本建築を訪ねて-MGMリゾーツ・インターナショナル会長兼CEO ジェームス・ムーレン特別寄稿

日本建築を訪ねて

MGMリゾーツ・インターナショナル会長兼CEO ジェームス・ムーレン


日本文化を理解し、世界中からラスベガスに集まる旅人たちとそれを共有することは、私にとってとても重要なことです。今週から、ベラッジオにて「プライマル・ウォーター」と題した展覧会が開催されます。この展覧会は著名キュレーターである西沢碧梨氏の監修によるもので、第2次世界大戦後の日本美術史における重要な作品にスポットライトを当てています。このたび、ほんの一部ではありますが日本文化をラスベガスで披露する機会を持てることになり、大変興奮しています。


日本の歴史と文化、そして日本人の精神の在り方をより深く学ぶため、私は日本で多くの時間を過ごしてきました。そしてここ最近、訪日のたびに、特に日本の建築の魅力を再発見するようになっています。私は長い間、建築を学んできました。大学の専攻こそ都市計画ですが、記憶にある限り日本の建築を学び続けて来たように思います。また、「THEATERS」や「Still Life」シリーズなどで世界を魅了し続けている写真家、杉本博司氏のファンを自認しています。


先回の訪日では、杉本氏ご本人にお目にかかり、杉本氏が構想された神奈川県小田原市の江之浦測候所を訪問する機会を得ました。この測候所は、美術品を鑑賞するギャラリー・スペースや、能(7世紀もの歴史を持つ伝統的な日本の舞台芸術)、茶室などで構成されており、日本建築史を通観することを目指したものです。氏が構想のうえでベースとしたのは「新たな新石器時代の美学」で、「文明が潰えたとしてもなお美しい」建物をつくることを目指したとのことです(The New York Times https://www.nytimes.com/2017/04/03/t-magazine/hiroshi-sugimoto-photograph-architect-enoura-observatory.html ご参照)。


訪日を締めくくったのは、六本木ヒルズの森美術館で開催されている「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」でした。


MGMリゾーツ・インターナショナル会長兼CEO ジェームス・ムーレン


展覧会で、19世紀に活躍した日本人建築家、伊藤忠太の次の言葉が引用されていました。「日本建築をして進歩発達せしむる。…要するに日本将来の建築の取るべき方針は折衷主義でも欧化主義でもない、夫(それ)は建築進化の原則から見れば必然進化主義でなければならないと云ふ考(かんがえ)であります」。『建築進化論』1909年刊、伊藤忠太)


伊藤氏の「進化論」では、建築をあたかも生を受けて呼吸する生き物のように扱っており、建築の「デザイン」とは即ち「精神」であり、「素材」は「物理的な躯体」である、とされています。伊藤氏は、スタイル(日本式)が別のスタイル(西洋式)に融合したとき、それが「進化」のエンジンになると述べています。


森美術館、建築の日本展にて


私たちが目指しているのは、日本の文化、社会、技術、そして精神と調和する、日本を代表する建築物を創り上げることです。ですから、杉本氏と伊藤氏の建築思想はどちらも、とてつもないインスピレーションを私に与えてくれました。


さて、冒頭でも触れました「プライマル・ウォーター」。

西沢碧梨氏の手によってキュレーションされた素晴らしい作品群をベラッジオ・ギャラリーで是非ご覧頂き、日本を代表するアーティスト達の精神に触れていただくことが出来ましたら幸いです。