カジノがもたらす社会的影響

世界的に知られる大規模なカジノ運営会社の大半は、成熟した上場企業です。個人や機関投資家に責任を持ち、詳細な四半期決算書と年次報告書を提出し、ゲーミング・コントロール委員会の規定に従い、透明性と説明責任において、常に高い水準を維持しています。

さらにカジノは現金主体の事業であるため、大半の事業主が社内にその精巧で複雑なセキュリティ・システムと人材を有しており、その水準はあらゆる民間企業でもトップレベルです。

それにもかかわらずカジノ業界に否定的な考えをもたれる方の中には、カジノと犯罪率の相関関係を主張する声も聞かれます。参考にされている調査には古いものや、その手法に不十分な点があるものも多く見られます。調査設計の段階でカジノに対する否定的な先入観が、調査結果の客観性を損なわせている場合も少なくありません。


カジノの社会的費用について

1990年、全米ギャンブル影響調査委員会(NGISC)はゲーミングが社会や経済に与える影響について最も包括的な研究を実施、最終報告が発表されました。250万ドルの研究予算を費やし、ギャンブル行為や態度に関する2つの全国調査、10カ所の地域における実態を調査。カジノが運営されている地域にどのような影響を与えるか、正確な判断材料となりうる100地域分のデータベースを構築しました。 調査は、カジノがどの程度犯罪に影響を及ぼすかだけでなく、さらに範囲を広げ、カジノによって生じる社会的費用についても報告されています。

膨大な時間と労力を費やした調査にも関わらず、委員会は最終報告書の中で「カジノと犯罪率の関連性を裏付けるデータは導きだされなかった。合法化されたカジノと犯罪の相関関係だけを独立して調査する必要がある。これに関して他の調査機関からも同様の結果報告があげられている」との発表をしました。

全米ギャンブル影響調査委員会による調査の直後、米国会計検査院(GAO)、連邦議会による監査と調査機関も同様にゲーミングの社会・経済的な影響についての調査を開始。こちらは全米ギャンブル影響調査委員会と異なりカジノのみに範囲を絞り、ニュージャージー州のアトランティック・シティの事例研究がなされました。

興味深いことに、この調査においても全米ギャンブル影響調査委員会の調査と同様の結果となりました。カジノがアトランティック・シティに与えた経済効果は数値化できるものの、社会的費用に関して特定することも算出も難しいとの報告が伝えられています。

他の調査機関、公共団体、学者からも同様に下記の点が指摘されています。

  • 米国国立司法省研究所の研究では、「カジノは一般的にも特別な場合にも犯罪には影響しない」という結論に達している。
  • 各州の州議会のゲーミングを管轄する超党派の公営ゲーミング調査委員会(PSGSC)は、「過去10年間にわたり集積されたデータが示すに、カジノのようなゲーミングと犯罪には関連性を認めることはできない。カジノ施設におけるセキュリティ、厳重な取締り管理、地域コミュニティへの経済・社会的な貢献などから、むしろ犯罪を抑制する効果がある」という結論を出している。(P37)
  • 米議会により組織された全米ギャンブル影響調査委員会(NGISC)には、カジノが認可されている地域の24人の警察の長官から次のような声明が寄せられました。犯罪とカジノ:調査結果に関する声明--たいていの場合カジノが導入された地域周辺では犯罪の減少が見られる。現代の厳しい規制のもとにあるカジノ産業において組織的犯罪が入り込む余地はなく、人が多く集まるその他の娯楽と比較しても、警察がより多く動員要請がなされるということはない。
  • 米国の新聞(The Wichita Eagle紙 2007年7月15-19日 )による調査では、「カジノによる犯罪発生率や社会的費用の上昇という話はよく聞かれるが、実際には見受けられず、調査対象となったコミュニティの大半において、殺人や盗難などの凶悪犯罪が増えたという報告はない」と伝えられている。

NGISCによる最終報告レポートより抜粋
(ワシントンD.C. : GPO, 1999年6月. p.7-13 .7-14)